社員主導のDX活動!Boxを活用した業務アプリケーションの開発事例
Box Japanの中部・関西エリアでSEを担当している辰己です。
今回はSEとしてプロジェクトに携わらせていただいた、ヤンマーパワーテクノロジー株式会社様のBoxを活用した業務アプリケーションの開発事例をご紹介します。
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「市民開発」とは?
昨今注目を集めているIT潮流のひとつに「市民開発」があります。「市民開発」は、非IT人材の業務部門の社員や職員が、業務やビジネスのニーズ、個人のニーズを満たすシステム開発やアプリケーション開発を行うことを指しています。これはシステムの内製化とともに日本のデジタル競争力を上げる方策として、NHKの「時論公論」でも取り上げられるなどますます浸透を見せています。
ヤンマーグループ様の「市民開発」の取り組み
発動機ならびに農機、建機、小型船舶製造販売の大手企業ヤンマーグループ様は、草の根DX活動で市民開発を推進されている企業の一社です。
2022年に策定されたデジタル中期計画(2022年〜2025年)において、4つの重点取り組みの1つとして「草の根DX施策組織化・グループ展開」を策定されました。その中でビジネス側のニーズとデータサイエンス技術の両方を理解し橋渡し出来る人材を「トランスレーター人材」と定義して育成を図り、着実に草の根DXを推進されています。
ヤンマーグループ様の1社、クリーンディーゼルエンジン製造販売を手掛けるヤンマーパワーテクノロジー株式会社様は、小形事業部において社内ドキュメントの不正アクセス・改竄防止を始めとする全社統合コンテンツ基盤の実現にBoxを導入いただきました。
Box導入するにあたり、着目されたポイントは3点です。
PoC段階(概念実証)からBox内のコンテンツを活用する業務アプリケーション開発の検討を進められました。これは先に触れましたヤンマー様のデジタル中期計画の草の根DX活動施策の波及と、それ以上に小形事業部様は従前から部門内でビジネスニーズに応じたIT環境を検討、導入される組織文化であったところが大きいのではないかと思います。
開発アプリケーション:汎用BoxアクセスWebアプリケーション
ヤンマーパワーテクノロジー様が開発されたアプリケーションをご紹介しましょう。
1つはUI Elementsを活用した汎用BoxアクセスWebアプリケーション。共有端末や利用頻度の低い社員用に、Boxのアプリケーションユーザーというユーザー体系を利用して、低コストでBoxにアクセスするためのPythonベースのWebアプリケーションです。複数社員で共有できるアプリケーションユーザーを用いつつ、Flask-Adminを活用してアプリケーション側でのユーザー認証を実装しています。
開発アプリケーション:改正電帳法対応アプリケーション
もう1つはBox AI APIを活用した、改正電帳法対応アプリケーションです。指定フォルダに保存された証憑類をスキャンして、改正電帳法の検索3要件である「取引年月日」「取引先」「取引金額」を取得し、Boxのメタデータに格納します。Box AI APIを用いることで、証憑類のフォーマットを問わず、プロンプトを渡す要領で3要件を抽出することができ、経理担当者の業務負荷を大きく軽減することができます。会計システムとの連動などの要件にも依存しますが、証憑類の電帳法の検索要件対応は、Box Enterprise Plus*なら月2,000通まで追加コストなく対応することができます。これにより専用ソリューション導入と比較しても低コストで実現できます。
*Boxのエディションの違いはこちら
特筆すべきはこれらの取組が事業部門内の社員主導で行われているということです。まさに冒頭に述べました「市民開発」を実践されている先進事例ということができるのではないでしょうか。
ヤンマーパワーテクノロジー様担当者の声
さいごに
これからも、Box AI APIで使用できる大規模言語モデル(LLM)の拡充を筆頭に、文書自動生成機能やノーコード開発ツールを提供し、「市民開発」を更に容易にする環境を推進していきます。組織内のあらゆる情報・コンテンツが集められたコンテンツ基盤を自在に業務部門が活用できることで、事業環境や市場の変化にいち早く追随する情報活用が実現でき、顧客満足度向上やビジネス拡大に繋がります。これらBoxの新しい機能群は近日リリースされる予定です。ぜひご期待ください。
12月12日(木)14:00〜BoxWorks Reacap in Japanをオンラインで開催いたします。今までのBoxの機能に加えて、新機能をご紹介いたしますのでぜひご参加ください。